再犯者率に関する反論への反論



私のblogを見ていてhttp://sheepman.parfait.ne.jp/さんを見ていないひとが居られるのかどうか甚だ疑問ではありますが: sheepmanさんからhttp://d.hatena.ne.jp/yts/20050120への反論を頂きました。



書き換えないつもりでしたが、寿命を終えたと思うので、対象読者を変えます。

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この式の左辺は rna さんのコストパフォーマンスの定義_と同一です。よって、rna さんに対する僕の議論がそのまま当てはまってしまいます。というか、yts さんの上の式の議論は rna さんのそれを犯罪対策の効用を導入するという別の形で繰り返しているだけです。

言葉の(コストパフォーマンスの)定義を合わせないと議論になりません。
コストパフォーマンスの定義を合わせたからこそ、sheepmanさん(や再犯者率が重要だというその他)の議論が当を得てないと論じることができたのです。

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犯罪 a に関して上の不等式が成立するなら、それは効用がコストを上回っているわけですから、犯罪 b に関係なくミーガン法を導入するべきだということになります。

二つの点で誤っています。

まず第一に、「二つの犯罪のうちどちらかにミーガン法を導入するとする」という、文脈および

次の不等式が成り立つとき、ミーガン法はbよりもaに適用すべきである。
http://d.hatena.ne.jp/yts/20050120#p1

から当然読み取られるものとと私が期待していた前提を無視しています。

第二に、こちらが重要ですが、論理的に誤っています。二つの対策を同時に行ったときには、コストや効用は単に足し算か何かで決まるわけではありません。

例えば、仕事をするのは効用(金銭等)がコスト(時間その他)を上回るからですが、
sheepmanさんの議論に従う人:
「仕事Aか、これぐらいの給料ならいい。ふむ、仕事Bはもっといい。Cはぎりぎりプラスかな。まず、仕事Aの効用は正だから、BやCにかかわりなく、やるべきだ。Bもそうだ。Cもそうだ。よし、全部効用はプラスだから、AもBもCもやろう。一日23時間労働だが効用はプラスだ!」
私が述べた事
「仕事を二つから選ぶとしたら、より効用の高いものを選ぶのが良い」

1.1

この問題点をもう一度指摘しておきます。

最大限投資した(全員に対策した)時の効果を元にコストパフォーマンスを比較してもあまり意味がありません。1円投資して2円回収するほうが、100万使って150万回収するよりいい、といっているようなものです。
http://d.hatena.ne.jp/yts/20050120#p1

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それに A(t) = B(t) かつ a(t) = b(t) を仮定してしまうと、再犯者率が高い方の犯罪は同時に再犯率の高い犯罪なわけですから、「再犯率は重要ではない」という結論は出てきません。

同値だから重要でない(再犯率を計算しても意味がない)というのが、私の論の骨子です。定理1はまさにそれを述べているのです。
一方、sheepmanさんの主張は

だから「再犯率」が「再犯者率」より重要になる。
http://sheepman.parfait.ne.jp/20050109.html

ですから、少なくともこの仮定のもとでは、否定されてしまいます。

http://sheepman.parfait.ne.jp/20050110.html では A(t) = B(t)( (C_A = C_B)と書かれている)を仮定されていますが、最初のコストパフォーマンスの比較以外は、計算すればわかりますが、再犯者率でも全く同じ議論が成り立ちます。つまり、「より重要になる」ことを示す目的には無価値です。

唯一残った、コストパフォーマンスの比較はどうかというと:
(上の仕事の選択と同じ様に)全く怪しげな仮定

コストが人数に比例するという仮定もどうかと思います。

の元でしか成立しない話である「上に」、1.1のような疑問まである、という状況にあるわけです。