情報読解力

日本学生の読解力低下が問題ではなく文化差異が問題だを読んだ。8日のエントリだけど。なるほどこれは読解力の問題ではないな、と同意
した後、ふとこれってそんな問題だったか?と疑問がわいてきた。このヘルガとソフィアの文を読んだ記憶があったのだ。恐らく前回の同調査の時に問題文を見たのだろう。しかし、おかしな問題だと思った記憶がない。
頭の片隅にひっかかりつつもつらつらとコメント欄を眺めていく。誰もがfinalvent氏の議論に同意している。…と、発見。

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設問は4問あります。
(1)ふたつの手紙に共通する目的は何か(4択)
(2)ソフィアが広告を引き合いに出した理由は何か
(3)どちらに賛成するか
(4)どちらのスタイルが優れているか
このうち3問は主に論理展開などのテクニックを分析しろというもので、
典型的な「国語の読解問題」です。
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投稿者: 一読者 (12月 9, 2004 08:32 午後)

ようやくリンク先の問題を自分でみてみると、まっとうな問題だ。
自家撞着を感じながらもここで当の(3)を引用すると、

あなたは、この2通の手紙のどちらに賛成しますか。片方あるいは両方の手紙の内容にふれながら、自分なりの言葉を使ってあなたの答えを説明してください。

である。
この設問であっても、答えられないというのは、「読解力」の範疇でないとしても思考力か国語的表現力に問題があるだろう*1。この種の問題は、中学の頃は覚えていないけれども、少なくとも高校の国語の問題としては決して珍しい設問ではなかった*2
上記の記事は非常によくできていると思う。学力問題という一般の関心の大きな素材を利用し、「マスゴミ」不信・軽蔑、日本と外国の文化差異という魅惑的なテーマを、自分の経験を絡めて実に説得的に展開している*3。筆者の心情としては日本文化万歳なのだが…というのも素晴らしい。これでいわゆるネットユーザー(というのだろうか?)が食いつかないわけがないのだ。
記事の解釈としては極論だったかもしれないが、こういう世論誘導・迎合こそがジャーナリズムらしさだという気がしなくもない。ここでblog"ジャーナリズム"をマンセーする人達が、マスメディアが同じこと(ただし彼らには迎合ではない)をすると鬼の首を取ったように「マスゴミ」よばわりしているのだと思うと面白い。彼らはリンク先の情報は確認していないのだ(blogならできるのに)。人は自分にとって心地よい意見しか聞こうとしない。それゆえ読者を持つためには、読者の心を読み取って、喜ぶように書かなくてはいけない。そのためにマスメディアは結局日和るのだ。個人のblogは日和らぬかもしれないがそれならば読まれなくなるのだろう。
個人的教訓としては「一次情報を確認しろ」という月並なものにしかならないのだけれど。

*1:個々の設問の回答状況をみなければ厳密に読解力が問題であるかはわからないが、1/4であるし、そもそも国語力の問題ではある。

*2:国語試験問題のリテラシーの一部であり、ルール違反ではない

*3:こういう文章が書けるのは羨ましい